2007年 12月 15日
東京の空はくすんでいる。誰かがそう言った。 人は何かを体験することで、そこが基準になる。というよりは、ものさしの目盛りが増える感覚だろうか。1~5までのしか知らない人が5を感じた時、その効用は最大となる。しかしひとたび10を知れば、5はその半分でしかなく満足できない。なんか「一旦上がった生活水準はなかなか下げれない」みたいな感じ。 東京に生まれ育った人は東京の空、あるいは空気をどう思っているのだろうか。彼らはポルトガルの突き抜けるような高い青空を知らないかもしれない。スイスの深海のように深い青空を知らないかもしれない。私は奈良に生まれ育ち、ずっと奈良の空を基準として考えてきた。そんなわたしの空に対するイメージを変えたのはそういった強烈な青、あるいは藍色をした空だった。帰国後日本でそのような空に出会うことは今までになかった。 しかし私は今でも実家の私の部屋から見える夕刻の空が大好きである。オレンジの残照と紫がかる空。私はいつも空を眺めていた。 誰かが言った。「東京の空はくすんでいる。」 それを聞いて東京の空がくすんでいると思うのは正しくはない。それはその人のものさしで測ればの話。肝心なのは自分がどう感じるかである。残念ながら私は東京の空がきれいだとか、好きだと言うことができないが、誰かはそう感じているかもしれない。 結局のところ、人はいつも自分の空を探し続けるしかないのである
by ndgio
| 2007-12-15 10:31
| ロートホルン
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